はじめに

双極性障害は気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す脳の病気です。双極性障害の原因は、まだ解明されていませんが、精神疾患の中でも身体的な側面が強い病気だと考えられ、精神療法やカウンセリングだけで根本的な治療をすることはできません。再発予防のために正しく理解することが大切です。

 

双極性障害の症状

激しい躁状態とうつ状態のある双極Ⅰ型と、軽い躁的な状態(軽躁状態)とうつ状態のある双極Ⅱ型があります。躁状態では気分が高ぶって誰かれかまわず話しかけたり、まったく眠らずに動き回ったりと活動的になります。一方、うつ状態では、一日中憂鬱な気分で眠れなくなったり、または逆に眠りすぎたりします。大好きだった趣味やテレビ番組にも関心がなくなり、食欲が低下し、おっくうで身体を動かすことができないといった症状もみられます。

双極性障害はうつ病に似ていますが、両者はまったく違う病気で治療薬も異なります。
うつ病の主な治療薬は抗うつ薬ですが、双極性障害では気分安定薬抗精神病薬が使われています。

躁状態と軽躁状態に共通していえることは、多くの場合、本人は自分の変化を自覚できないということです。大きなトラブルを起こしていながら、患者さん自身はほとんど困っておらず、気分爽快でいつもより調子がよいと感じており、周囲の困惑に気づくことができません。

一方、双極性障害の人が具合が悪いと感じるのは、うつ状態の時です。

躁やうつが治まっている期間は何の症状もなく、まったく健常な状態になります。しかし、この期間に薬を飲まないでいると、ほとんどの場合、繰り返し躁状態やうつ状態が起こります。治療がきちんとなされていないと、躁状態とうつ状態の間隔がだんだん短くなっていき急速交代化(ラピッドサイクリング)へと移行し薬が効きにくくなっていきます。躁状態とうつ状態が混じって現れる混合状態では、「消えてしまいたい」という気持ちが強くなる一方で、行動的にもなるので、自殺するリスクが高くなりやすく注意が必要です。

 

治療法

双極性障害の治療目標は、躁状態やうつ状態から回復し再発を予防することにあります。具体的には、薬物治療と心理療法が用いられます。

 

薬物療法

薬物治療で一番大切なことは、病気を受け入れ、薬を飲み続けることです。それにより、症状を安定させコントロールしながら社会復帰することができるようになります。
気分安定薬は双極性障害の躁状態とうつ状態の治療と予防に効果のある薬で、双極性障害の薬物治療の基本となります。もう一方の抗精神病薬は気分安定薬と一緒に使うことにより、躁症状の治療に効果を発揮します。

気分安定薬には、炭酸リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンがあります。このうち、最も基本的な薬は炭酸リチウムで、炭酸リチウムには、躁状態とうつ状態を改善する効果、躁状態・うつ状態を予防する効果、自殺を予防する効果があります。うつ状態の時には、抗うつ薬が処方される場合もあります。

 

心理療法

双極性障害は、病気をしっかり理解し治療がうまくいくように援助していくことが大切です。こういった精神療法を、心理教育といいます。

心理教育ではまず、病気や薬の作用と副作用を理解し、再発のサインは何なのかを自分自身で把握することをめざします。疾患について学習し正しく理解することで、病気を受け入れコントロールできるようになることが目的です。また、再発のきっかけになりやすいストレスを事前に予測し、それに対する対処法などを学ぶことも大切です。

たとえば、日々の自分の気分や症状を「活動と気分の記録表」に記入してみると、自分の症状を客観的に捉えることができるようになります。徹夜を避け、朝はしっかり日の光を浴び、散歩などの軽い運動をするといった形で、できる限り規則正しく一定のスケジュールで生活することは、病気の安定化にとても大切です。また、起床や出勤、食事などの時間や他人から受けた刺激の度合い、イベントなどを記録することで、どんな場合に生活リズムが不規則になりやすいかを理解し修正できるようになります。

 

家族療法

双極性障害に対する理解を深め、ご本人とご家族が協力して病気に立ち向かえるようにすることを目的としています。症状(前駆症状)を確認し、ご本人とご家族で共有すること、再発を防止するために服薬継続の理解はとても大切です。激しい躁状態はご家族にとっても大きな負担となり、たとえそれが病気によるものだとわかっていたとしても、ご本人に対しマイナスの感情を抱いてしまいがちです。そのような感情が伝わることでさらなるストレスが病状の悪化を招く、といった悪循環に陥ってしまう可能性も。家族療法はこのような悪循環を断ち切るためにも有効な治療法です。

 

まとめ

カウンセリングでは、これから同じ方向をみて取り組んでいけるように、ご本人とご家族が今何に困っているのか、今後どうなるとよいと思われているのか、どのようなカウンセリングを望まれているのかなどお話を伺います。ご本人とご家族が望まれるカウンセリングとなりますようご要望をお伺いし、ご要望に沿ったカウンセリングプランをご提供していきます。

※当相談室は医療機関ではございませんので、診断や投薬等の医療行為を行うことはできません。また、ご状況に応じて医療機関へのご相談を提案させていただくこともございますので、ご了承くださいませ。

 

【参考文献】
双極性障害ABC 監修:加藤 忠史 先生 順天堂大学医学部精神医学講座 主任教授
認知行動理論に基づく精神看護過程  編著:岡田佳詠 中央法規

予約をする(空席確認)

櫻井理紗のカウンセリングのご予約確認(24時間対応) ※お電話によるご予約は、 電話による予約方法(フリーダイヤル)でご確認ください。